新春研修会 2023年2月4日(土)~5日(日)

2/4(土)13:00黎明館集合

 鹿児島城御楼門に集合。令和2年に復元された御楼門の、黎明館学芸員の小野さんの解説付き見学で鹿児島研修がスタートしました。欅の柱、丸太梁の手斧のなぐり仕上げがダイナミックで鹿児島の新しいシンボルとなっています。黎明館の常設展示場に入り、樋の間二つ家(てのまふたつえ)など、鹿児島の民家の歴史を学びました。黎明館の西側に移築された樋の間二つ家を実際に見学し、民家について語り合いました。茅葺屋根の傷みがひどく、九州杢人の会で手伝えることは協力する旨を伝えました。

16:00 山口建装

 次に、九州杢人の会会員である木製建具製作で活躍されている鹿児島市内の山口建装さんの工場見学と社長や職人さんのお話を聞かせていただきました。工場はとても広く、20歳代から70歳代までの建具職人10名あまりが、障子から框(かまち)戸などまで同時進行で製作中でした。技能五輪で銀メダルを取られた山口洸樹さんによる技能五輪の解説、工場の案内や機械の紹介をしていただきました。

2/5(日)9:00 

 昨年(2022年)12月に上棟したK邸の見学です。堂薗建築に在籍していた福田翔さんの独立後初の棟梁としての現場です。移築された古材梁と新材とのコラボになっています。籾殻断熱をはじめ、竹小舞、土壁など鹿児島ではなかなか携わることがない貴重な建屋です。施主自ら籾殻断熱、竹小舞、土壁を施工し、外壁も棟梁と施工している真最中でした。解体、運搬、墨付け、刻みからここまでの経緯を施主に話していただき、完成が楽しみな現場となっています。

14:00 薩摩酒造洋樽工場見学

 焼酎白波で有名な薩摩酒造で洋樽職人として活躍されている若干26歳の若者。ひたむきに洋樽に向き合う祝迫智洋さんに材料から加工、組み立ての一連の流れを解説付きで見せていただき、祝迫さんと洋樽に感動しました。九州杢人の会会員の製材所の杉岡さん、有薗さん、樅の内装材を販売している菅本さんと祝迫さんの4人が、木の木材細胞構造から仮導管など多岐にわたる木材の話で盛り上がっているのを聞くことが最も勉強になりました。最後に、樽の内部の焼き直し(チャーリング)の実演を見せていただき、貯蔵庫も案内してもらって工場見学を終えました。参加できなかった会員も、祝迫さんにお会いしたかったと言っていました。今回会えなかった方々のためにもまた企画したいです。

16:00 堂薗建築N邸 築70年のおうち再生工事の現場

 施主さんお待ちで大歓迎を受けました。完成された引き渡し間近の再生工事の現場を見学させていただきました。鹿児島特有の大床(うどこ)造り、二つ家になっての牛小屋、藁倉庫も兼ねたおうちの大改修工事です。柱と屋根だけ残し、入れ替えと再生を織り交ぜて40年ぶりに住まいとして復活させました。施主さんと会話をしながら、皆さん自由に見学されていました。

 その後有薗製材所の見学も行いました。土場に置かれた杉の丸太を有薗さんが説明してくれました。伐採時期があと1か月という忙しい中でご対応いただきありがとうございました。

(堂薗隆博)