山口県下関市現場見学会

2023(令和5)5月13、14日 山村工務店の現場(施工中1件•完工物件2件)を見学して頂きました。
参加者 6名(加賀田•堂薗•有薗•菅本•押川•山村)

●5月13日(土)13時より 『薪ストーブ設置の家』

薪ストーブ設置•車庫増築•パーゴラ設置など多くの仕事をさせて頂いている家です。見学日も気持ち良く迎えてくれました。

薪ストーブPANADERO社製 イスラを杢人会の方に見て頂きたく、この現場を選択しました。

PANADERO社の薪ストーブの特徴として私が1番注目している点は、火持が悪く火力の安定しない杉や桧などの針葉樹を、広葉樹の様にじっくりと燃やす事が出来る点です。煙突に接続されたドラフトスタビライザーが自動で空気調整を行う事で、炉内を最適な燃焼状態にしてくれます。

また手刻み時に出る建築材料の端材などが薪として提供出来る事も、大工が勧める薪ストーブとしてお客様の理解を得られるのでは無いかと思います。


前面ガラス面が大きく、輻射熱により驚くほど早く部屋全体が温まります。


木摺下地に砂漆喰仕上げ、100%天然素材で仕上げています。


2坪と小さな増築でしたが、家の雰囲気がガラッと変わりました。


左官の手仕事で仕上げます。


渡顎の変則型で組みました。下木の上端を三角(凸)上木を三角(凹)に加工する事で水の勾配を取りつつ、材料同士の接合にも使える為、雨掛かりの箇所には良い仕口だと思います。

薪ストーブの家の集合写真です。ありがとうございました。

 

●5月13日(土)15時より 『Beachman’s cafe』

海に手が届きそうな浜辺に建てたcafeを見て頂きました。
海をこよなく愛すオーナーが世界各地を旅し、様々な浜辺を見てきた中で選び抜いた立地に建築致しました。建築計画をするに当たりオーナー様の要望としては
・建物を出来る限り海に近づけて欲しい。
・海側面は視界を遮らない窓を多く付けたい。
とのことでした。それ以外のデザイン等は『おまかせで』と嬉しい言葉を頂きました。

木材をふんだんに使い•木組の面白さ•無垢材の表情•職人の遊び心を感じてもらいたいと考えて作りました。下関に遊びに来られた際は是非Beachman’s cafeに遊びに行って下さい。素敵なオーナーも待っています。

表天井に仕上げ、渡顎で組まれた小屋組を見る事が出来ます。


カウンター席からのサンセットは絶景です。


カウンターの継ぎ目は縁起の良い様に、木目を円(縁)になる様に継いであります。手作りならではの一工夫です。


寄木の埋木 ビフォーアフター。無垢材の傷や節も個性の一つ、上手に使って上げるのも大工の仕事です。


アクセントの一つとして楽しめます。


レジカウンター下は、左官さんの遊び心。ドイツ壁で仕上げました。

オーナー様と集合写真。気持ち良く迎えて下さり有り難うございました。

●5月14日(日)9時より 『古民家再生現場』

現在施行中の現場を見て頂きました。
長年の雨漏りで各所に腐食や白蟻被害があり、材料の交換や補強をしながら家全体の水平•垂直を直していく作業をしている最中です。
施工中の現場を、見て頂くことでタイムリーな問題に対する議論が出来ました。特に白蟻に対する予防や駆除の方法、白蟻の特徴•特性など詳しく話を聞かせて頂き、自分自身の課題も見つける事が出来た、良い見学になりました。


既存の天井を解体し、これから梁の清掃・補修等をして、表天井で仕上げていきます。


ジャッキやレバーブロックなどを使用して建物全体の歪みを調整していきます。


梁の補強に対して意見を出し合ってもらいました。


床下は白蟻被害が見られ、材の改修と今後の予防を行います。湿気のこもらない風通りの良い床下に改修します。


古材と新材の融合。


施主様の納屋に眠っていた欅を製材して使用します。

お忙しい中、遠方まで足を運んで頂きありがとうございました。
(山村康正)