JR霧島神宮駅舎改修工事

JR霧島神宮駅舎改修工事

2023年7~9月 (建て込み:9月7~9日)

 

1.いきさつ

鹿児島のIFOO(イフー)さんより、JR霧島神宮駅舎改修工事の刻みと建て込みの依頼が九州杢人の会にありました。JR九州の企画として、九州各地で活躍している大工さんに参加していただくことに意義があるということで、かねてより木材の扱いを熟知している九州杢人の会の皆さんに参加していただきたいということでした。

 

2.計画

3月より駅舎の下見をし、木材は霧島杉を扱う岩元製材所に製材と乾燥の具合を確認に行きました。8月下旬から刻みに入り、9月に建て込むという計画がきまりました。鹿児島の直径1m越えの霧島杉の丸太が中央にすわり、その周りを製材曳きのままの皮付き400mm越えの柱を建てる計画でした。設計事務所が意匠計画に入り、木の配置などを吟味していきました。





3.搬入

2023年7月28日、堂薗建築の下小屋に第1便の構造材が入ってきました。8月下旬より、IFOO(イフー)関連会社のトクエイの見習大工さんをはじめ、九州杢人の会の鹿児島メンバーも交わり、墨付け・刻みを行いました。9月3日には第2便の木材が入り急ピッチで作業を行いました。

刻みがはじめての大工さんもおり、道具の使い方など情報交換を行いながらすすめました。日に日に木材や刃物に馴染んでいく若い職人が楽しみに感じられました。わたし自身もこれまでの経験でも使うことがなかった巨大な原木を扱うことができて、楽しい作業になりました。





 

 

4.建て込み

9月7日~9日が本格的な建て込み作業でした。鹿児島、山口、福岡、宮崎、熊本、大分の九州杢人の会のメンバーが霧島神宮駅舎に集合しました。トクエイの大工さんと共同で現場への人力での運送、搬入を行い、人力で1本ずつ建てていきました。22歳~65歳まで12人の大工さんたちが集まり、若手が率先してできる作業と、先輩たちの知恵を融合させて魅力ある空間が生まれました。作業の上でお互いに気を配り、持ち場を作っていくことが自然にできていました。

 






 

5.工事を終えて

大工や現場の人間は、現場仕事を共に行うことで意思疎通が生まれ、お互いを認め合うことができるものだなとつくづく感じました。けがもなく、建て込みの3日間を終えられたことがありがたいことでした。

計画段階の完成予想図を見て、皮付きの丸太や柱を化粧材として建てていき、どのようになるのかと思っていたのですが、建て込み後の姿は想像をはるかに超えるおさまりで、杉の香りが漂う凛とした空間になりました。

九州杢人の会は卓越した職人集団として各地から集まり、このような現場作業を担えることが強みだとつくづく感じました。

(堂薗隆博)